めっきの役割 例えば、鉄で作られた製品は何もしなければすぐに錆びてしまいますが、表面をめっきし、錆びにくい金属の皮膜で覆うことによって、その製品を長く使うことが可能になります。また、金色に輝く製品を作ろうとした時、その材料すべてに金を使用するとコストが非常にかかりますが、安価な材料で作製しその表面に金めっきをすれば、費用を大きく抑えながらも金色に輝く製品を作ることができます。 このように、めっき技術はものづくりにおいて無くてはならないものとなっています。サステナブルな社会の実現のためにも、めっき技術の重要性や役割はますます高まっています。 身の回りのめっき 中でも装飾めっきは皆さんの生活の中でも非常に重要な役割を果たしています。部屋の中を見回してみると、ドアの取っ手や近年では一番身近な存在となったスマートフォン。クロムめっきされた自動車やバイクのパーツ。その他、お店で売られているアクセサリーや、食器などにもめっき加工がされていたりします。また、電気の力で動いているほとんどの物にはめっきの技術で作られた電子部品、基盤が使用されています。 私たちの身の回りには、実はめっき技術が使われている物であふれており、私たちの生活にとって無くてはならない技術になっているのです。 めっきの原理 「電解めっき」とは、金属を溶かした水溶液に浸漬させた被めっき品を陰極にし、電気を流した水溶液中の金属を被めっき品に成膜させる技術のことです。陰極では還元反応が起こり、被めっき品に金属の膜が成膜されます。一方、陽極では酸化反応が起き、めっき液中の陽極の金属が溶解し液中に金属イオンを供給します。めっきしたい金属を陽極にし、溶解し金属を供給することを「可溶性電極」、陽極で溶解せずに別の方法で金属イオンを供給することを「不溶性電極」と呼びます。近年では各種めっき技術も向上し、昔に比べ均一な膜厚を得ることが容易になり、外観も向上しています。また、めっき液中に添加する光沢剤と呼ばれる薬品の効果が大きく、その重要性が高まっています。 「無電解めっき」は「電解めっき」と異なり、通電を行うことなく素材をめっき液に浸漬するだけで、形状に関係なく厚みの均一な皮膜が得られる技術のことです。めっき液中に含有されている還元剤が化学反応により生み出す電子により、めっき液中に含有されている金属塩由来の金属イオンを金属単体へと還元させます。その皮膜は、金属種が同じであっても「電解めっき」で得られる皮膜と異なることがあり、これは還元剤による化学反応で金属塩と別の金属が共析し、高機能な皮膜を得られるためです。また電気を使用せずにめっき処理できることから、セラミックスやプラスチックなどの絶縁体にも、特殊な処理をすることでめっき処理が可能になります。ただ、「電解めっき」と比較しても浴寿命が難しいことや、めっき処理に高温条件や大量の薬品が必要であることからコストが高くなる傾向にあります。 めっきの種類